寒い気候を活かしたフルーティーな白ワイン
葡萄栽培の最北限といわれるドイツ。
葡萄畑は北緯47度から52度に位置し、この冷涼な土地からフルーティーな白ワインを多く産出しています。
ライン川を中心に広がる生産地域ではその気候条件から赤ワイン用の葡萄品種は難しく、植付け面積は白ワイン用品種が全体の約8割を占めています。
一見不利な気候条件が、フレッシュな酸味と繊細な芳香を形成し、さらに糖度が上がるまで収穫時期を遅らせるなど、他の国には見られない工夫も凝らされているのです。
またドイツは他のヨーロッパは諸国に比べワインの格付けや表示に特異なクラス分けを行っています。
これは醸造所や畑について行われるのではなく、醸造に用いられたワイン用原料葡萄果汁や製成ワインの糖度と酸度が基準となります。
ドイツワインの格付け
ドイツワインの品質等級は収穫された葡萄の熟度が基準
Tafelwein『ターフェルヴァイン/日常用テーブルワイン』
Deutscher Landwein(ドイッチャー・ランドヴァイン)
テーブルワインのうち、原料の品種や産地をはっきりさせた地酒
Deutscher Tafelwein(ドイッチャー・ターフェルヴァイン)
ドイツ産の葡萄のみを使ったテーブルワイン。
一地域内で収穫された葡萄のみを使用した場合は祖に地域を表示できる。
一地域のものが85%以上であれば品種名、生産地名、収穫年を表示できる。
Qualitatswein『クヴァリテーツヴァイン/指定地域優良ワイン』
QmP( Qualitatswein mit Pradikat)
肩書き付き高級ワイン。糖度の高い葡萄から造られた、フランスのAOCに相当するワイン。
補糖は認められない。
収穫時の糖度が低い順に、カビネット、シュペトレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、アイスヴァイン、トロッケンベーレンアウスレーゼと6つに分類されます。
QbA( Qualitatswein bestimmter Anbaugebiete)
地域指定上質ワイン。品種、栽培地域、アルコール度数、補糖、利き酒等の基準を満たしたもの。公的検査番号がラベルに表示される。
ドイツワインの主要ブドウ品種
白ワインの品種
リースリング、ミュラー・トゥルガウ、シルヴァーナー、ケルナー、バフース、ブラウアー・ブルグンダー(ピノ・グリ)
赤ワインの品種
シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)、ドルンフェルダー、ボルトギーザー、トロリンガーなど
ドイツワインに合う料理
リースリング、ミュラー・トゥルガウ、シルヴァーナーから造られるワインは、ドイツの冷涼な気候のため酸味が強く、アルコール度数は低くて軽いワインです。
なので料理を合わせるには産地やブドウ品種を重視し、かつ甘味も考慮に入れる必要があります。
カビネットは、軽くてフルーティな味わいなので、食前酒として楽しむとよいでしょう。
シュペトレーゼ、アウスレーゼは、甘味・酸味のバランスがよいので、白身魚のクリームソース系やホタテ貝のムースなどと相性がいいけれどスパイスの効いた料理には合わせづらいかも。
ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼ、アイスヴァインは、濃縮された甘味とリッチな感覚を楽しむため、フルーツを加えた料理やデザートなどと合わせて楽しみましょう。
ドイツの主要なワイン産地
モーゼル・ザール・ルーヴァーMosel-Saar-Ruwer
モーゼル川とその支流であるザール川、ルーヴァー川の河川流域にあるのが、モーゼル・ザール・ルーヴァーです。
フランスやイタリアワインと比べてボトルの背が高く、緑色のボトルが多いのが特徴です。
ドイツのワイン産地の中でも特に冷涼な気候のため、酸味がすばらしい、アルコール度数の低いデリケートなワインが造られます。
もっとも多く作付けされているのはリースリング。リースリング特有の洗練された酸味を最大限に引き出したワインが数多く造られています。
ラインガウRheingau
ブドウの作付け面積もワインの生産量もドイツ国内で8番目とワイン生産の規模が小さいにも関わらず、ラインガウという名前は世界で知られたワイン産地であります。
リースリングの比率が約8割。
ラインヘッセン
ブドウ栽培面積、生産量ともにドイツ最大のワイン産地。
世界で最も飲まれているドイツワイン「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」はここで生まれました。
フランケン
ボックスボイテル型と呼ばれる独特のボトルと力強い辛口のワインが造られています。
ボックスボイテル型のボトルが使われるワインは、QbA以上のワインに限られています。